オランダ、アムステルダムでネイリストとして働くaiさんにお話を伺いました。
2 年半前からアムステルダムに移住。個人事業主ビザを取得し、自宅サロンを営まれているaiさん。
まつ毛メニューの施術もこなし、アムステルダムで貴重な日本人美容アーティストとして活動されています。
貿易会社で働いたのち、手に職をつけたいと思いネイリストに転職しました。
3 年ほどデパート内ネイルサロンで勤めた後、ワーキングホリデー(以下ワーホリ)ビザを取得してオーストラリアに渡りました。
帰国後、フランスもワーホリビザで渡り、2 店舗の美容サロンで勤務した後、現在のオランダへ渡り個人事業主ビザを取得しました。
前職が貿易会社で海外を身近に感じていたことから、いずれは海外で働きたいという思いがありました。
「3年でネイルサロンを辞めて次のステージへ」と考えてはいたものの、日本のネイルサロンでは恵まれた環境の中楽しく働いていたこともあり、なかなかその先を決められずにいました。
そんな中、父が他界したことで「人生は短いから後悔しないようにやりたい事をやろう」と今までの迷いが吹っ切れたことで、 前職の出張で馴染みのあったオーストラリアに思い切って渡りました。
■2か国のワーホリ滞在からオランダへ■
基本的な語学力は身についていたので海外生活に不安はありませんでした。
オーストラリアでは日系サロン含め 3 店舗で働き、帰国後はまた海外で働こうと思い、海外でのネイル求人を調べていました。
求人の中でパリの美容サロン立ち上げスタッフとして採用が決まり、ワーホリビザでフランスへ渡りました。
結局そのサロンはすぐに閉店することになり、ワーホリ期間満了までパリにある他の美容サロンで働きました。
ワーホリ終了後、学生ビザを取得してその美容サロンに戻ってこないかと提案されましたが、自分の中でその選択肢はあまりしっくり来ず、一旦帰国しまた海外移住の道を考えました。
オランダを選んだのは、当時労働許可が要らなかったことと比較的個人事業主ビザが取得しやすかったからです。
2 か国のネイルサロンでスタッフとして働いた経験から、滞在ビザに依存することなく自分の選択肢で滞在したい、との思いがあり個人事業主ビザが取れる国で考えていました。
今思えば他の国でも選択肢はあったのかもしれませんが、当時はオランダしかないという思いであまり何も考えずに無計画で渡りました。(笑)
■オランダでネイルサロン経営■
現在は自宅内でホームサロンの形態を取っています。
物件を決めるまではアムステルダム内で公共交通機関を使いながら出張ネイルを行っていました。
ホームサロンのメリットは、お客様のご希望に応じて早朝から深夜まで幅広い時間帯で対応できることです。
お客様層に関しては、ネイル施術は日本人・アジア人・オランダに来ている外国人が多く、まつげエクステ施術はオランダ人が一番多いです。
私は、ネイルに関してはソフトジェルをメインに施術していますが、 オランダの他のサロンではアクリルかポリッシュジェルがメイン。アートをやっているところは少ないですね。
アートをしている方をごくたまに見かけますが、アジア系のアートと違って独特なデザインです。
私のところにまつげエクステに来られているオランダ人の方からネイルの問い合わせを頂くこともありますが、施術内容と価格がご希望に沿わないこともあり、ネイルはローカルサロンでされている方が多いです。
最初は集客もどうやってすればいいかも分からない所からスタートしましたが、やるしかない状況に自分を追い込んでしまったので思い付くことを片っ端からやってみました。
今では顧客様やご紹介のお客様にもお越しいただけるようになり、仕事と言うよりは色んな方との出会いやお喋りを楽しむためにネイルがあるような感じです。
ゆったり遊びにきてもらう感覚で時間をかけて丁寧に施術しています。
■ネイリスト以外の活動■
せっかくフリーランスとして活動するのだから、ネイリスト•アイリスト施術以外のことにも挑戦したいと思っています。
文章を書くのは得意ではないのですがサロン運営の為にHP・ブログ、そしてそれ以外の活動の為に個人ブログを始めました。
趣味のレストラン巡りについてブログを書いていたら、それがきっかけになり日系旅行情報サイトからレストランライターの依頼をもらいました。
発信していると、このような依頼や、オランダ移住に興味があるという方、海外で働きたいネイリストさん•アイリストさんからの相談も頂けて、視野が広がり楽しいですね。
今後も興味があることには積極的にチャレンジしていきたいです。
私がシドニーのアジア系ネイルサロンで働いていた時、ネイル経験一ヶ月の男性ネイリストと同じ仕事をしていました。
「私は日本のネイルサロンで経験してきたのに・・」という思いがありましたが、きめ細やかなサービスや技術の高さ、ホスピタリティなど、私が日本でネイリストとして働いていたときにお客様から求められているであろうと思っていたものは、そのサロンでは残念ながら一切必要とされませんでした。
また、日本ではネイリストは専門職として認知されていますが、海外ではネイルだけでなくその他美容サービスも合わせて出来る技術者が多いように感じます。
ローカルサロンに勤務する場合やローカルのお客様向けに仕事をする場合、日本のサロンと同じように考えていてはうまくいかないことも多いです。
もちろん「日系サロン」でネイリストとして働くならば日本と同じクオリティが求められます。
現に私も日本でネイル技術を積み上げてきたからこそ「オランダでも日本と同じネイルが出来てよかった。」と 日本人含むアジア人の方から喜んでもらえています。
語学力とネイル技術があれば働けるサロン探しに苦労しなかった2か国のワーホリと、オランダのように日本のネイルとギャップを感じる国で個人事業主をしている今とでは全く違い、大変なことも多いです。
しかし、日本で習ったネイルの技術があったからこそ、迷わず海外へ渡る覚悟ができたと思いますし、それが繋がって今現在オランダで自立して仕事ができているのが嬉しいです。
■海外渡航を考えられている方へ■
国によって日本のネイルスタイルの需要がある国、オランダのように日本のネイルスタイルがあまり受け入れられない国もあります。
さらに日系サロンかローカルサロンかでもかなりサービス内容が変わります。
自分の得意な分野を活かしたいのであれば、それを活かせる国やサロン選びが大事だと思います。
私は、海外でネイリストとしてワーホリの短期間だけでなく長期的に働きたいと思っていました。
しかし海外に出てはじめて、ネイルだけでは海外で自立して働くのは厳しいことやネイリストとして就労できる(ワーホリ以外の)ビザ取得のハードルの高さなどの現実を知りました。
メディアで「語学力と日本のネイル技術があれば海外で活躍できるネイリストになれる。」と謳っているのを見かけることがありますが、私の経験からすると全く違います。
ですが、ワーホリなどであれば、仮に語学力がなくてもネイル技術があれば日系•ローカル問わず働けるサロンを見つけられるので、海外の色々なサロンで雇われて働くのは挑戦しやすいです。
海外のネイルに興味がある若いネイリストさんであれば、ワーホリなどで気軽に海外に出て働いてみるのは良い経験になると思いますよ。
AIさんのネイル・アイラッシュサロン
Atelier Hana Amsterdam