カナダ・トロントにて日系ネイルサロンを営み、ワーホリ始めカナダに住んでいる日本人ネイリストを雇用するサロンオーナー木澤マリカさんにお話を伺いました。
カナダでサロン経営するまでの経緯や現在のサロンの様子も教えて頂きました。
▼木澤さんがネイリストを目指された経緯を教えて下さい。
高校生の頃からネイルに興味がありました。
大学在学中に1年休学をし、ニューヨークのネイルスクールに留学をし、ライセンスも取得しました。
当時は日本のネイルアートはアメリカでは浸透しておらず、自分でやったネイルをしていると街中で「どこでやったの?」と話しかけられる程。
日本のネイル技術はすごい!いつか海外で日本のネイルを披露したい!とこの時強く思いました。
大学卒業後は、化粧品会社に就職しました。
アメリカで働く事を第一目標にしていたので、アメリカ支社がある会社を選びました。
OLとして働く中で、アメリカには会社からの転勤で行けるかもしれないけど、「私はネイリストとしてアメリカに行きたいんだ。」という気持ちが再度芽生え、2年で退職し、ネイリストに転身しました。
▼カナダに渡航されたきっかけを教えて下さい。
検定を取得するために日本のネイルスクールに通いながら、都内のサロンに就職しました。
アメリカで働く為の「アーティストビザ」を取りたい事を周囲にも話していて、当時のボスからもサポートを受け、TVや雑誌などメディアの仕事の実績を付けていきました。
3年ほど勤めていた時に東日本大震災が起こり、ボスから「今やりたい事をやらないと後悔するよ。」と言って背中を押して頂き、海外に渡る決心がつきました。
アメリカへのアーティストビザが結局難しく、でも足踏みしている訳にもいかず、ワーホリビザを取得できるカナダにいってみよう!と、2012年に渡航しました。
▼ワーホリ生活はどうでしたか?
カナダのトロントに渡り、すぐローカルのネイルサロンで勤めました。
形態は日本のネイルサロンと全く違い、ポリッシュワンカラーを早く仕上げるスタイル。
職場自体は楽しくて貴重な経験ではありましたが、ネイルアートを広めたいと決意してカナダに来た私にとっては、十分にアートのための商材も揃っていない環境に、「もっとアートをアピールしたいな、あのパーツが使えればもっと可愛く仕上げられるのにな」などと消化不良な思いが募っていきまいした。
接客の感じも全く違い、そのお陰で自分のやりたいサロンイメージが明確化されました。
半年ほどローカルサロンで働き、残りの半年はフリーランスで働いていました。
▼ワーホリ後はどうされましたか?
一年ほど日本に帰国し、結婚を機にトロントに戻ってきました。
永住権を取得したので、ワーホリ時にイメージしていたお店を作る準備を始めました。
2016年に会社登録をしてサロン「From M―Tokyo―」をオープンさせました。
トロント唯一の日本人経営ネイルサロンとして営業しています。
日本のネイルアートを提供することがコンセプトなので、今のところスタッフは全員日本人。
お客様もスタッフも安心できて、誇りを持って日本のネイルアートを発信しています!と言える美容サロンを作りたいと思いました。
▼日本人スタッフの雇用についてはどうですか?
有難いことにネイリストさんがどんどん集まってきてくれました。
コロナ前までは9名スタッフが在籍していました。
ワーホリで渡航してくるネイリストさんが多くてInstagramなどから応募連絡を頂けます。
探してきてくれると、ガッツを感じるのでとても嬉しいですね。
自分自身がビザなどの問題で困ったことを経験しているので、ネイリストさんが安心して技術を提供できる場を作りたいと思っています。
そしてこの環境を保持していくことが私の役目です。
お客様は9割ほどローカルの方で接客は英語ですが、英語が話せないスタッフもスタッフ同士でサポートしています。
初めは全く話せなかったスタッフの成長も嬉しいですね。
ビザ満期を迎え、このまま働きたいと言ってくれるスタッフにはワークビザサポートも行っています。
日本人ネイリストは世界でどんどん活躍できると思います。
自分の技術を信じて是非一歩踏み出してみて下さい!
▼現在のサロン経営はいかがですか?
ジェルネイルとまつ毛エクステのメニューで運営しています。
トロントにはアートができるサロンが少なく、価格はローカルより高めに設定しています。
在住日本人の方は10~15%程であとはローカルのお客様。
日本の商材を使っていることやアートを楽しめる事としてお客様がお客様を呼んできて下さり、お陰様で日々たくさんのお客様に来ていただいています。
実は先日、私のこれまでの経験を綴った電子書籍【海外でネイルアーティストの夢を叶えるMy Story 〜3階席から観る、自分の舞台~】を出版しました。
海外に興味はあるけど勇気がなかったり、不安や迷いがあってどうしたらいいか分からないネイリストさんにも参考にして頂いて、少しでも背中を押すお手伝いが出来たら嬉しいです。
interviewerより
「日本のネイルを世界へ」のコンセプトを持ちながら、カナダで日本のネイルを広められてきた木澤さん。
日本人が安心して働き、技術を発揮できる環境作りへの考えがとても素晴らしく、勉強になりました。
トロントへのワーホリや移住を考えられているネイリストさんは幸せですね!
interviewer
久賀田有紀 Yuki Kugata
一般社団法人 海外ネイル協会 代表理事・ネイルサロンオーナー
教員在職中にネイルスクールに通い2009年ネイリストに転職。
2015年より1年間パリにてネイリストとして活動。
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