
こんにちは。海外ネイル協会 久賀田です。
もう4年以上前にはなりますが、私がパリで活動していたお話です。
今回は、ワーホリを中断した話について。
このコロナ禍、また第二波がきている中で海外で暮らすネイリストさん、特にお一人で生活している方からの相談を受ける事が増えました。
初めての海外暮らし。
友達や職場の仲間は現地でできるけど、気心知れた家族や信頼できる人が近くにいない孤独感は、そもそもコロナ関係なく、渡航した誰もが一度は経験する事だと思います。
どこでも生きていけそうな私えさえ、異国での一人暮らしを経験し、孤独感に押しつぶされそうになった事は何度もありました。
それに加え、今は先の見えないウィルスとの戦い。
日本に住んでいても毎日気が滅入りそうになるのに、語学に自信がない・土地勘もない・頼れる人がいない。万が一のことを考えるとどんなに不安な事だろうと思います。
でもお金を貯めて仕事も辞めて準備し、大きな決心をして渡航したからこそ、そうそう簡単に帰国も決められない。
後ろ髪引かれる気持ち、すごく分かります。
私も実はワーホリ期間中、社会情勢により生活を一度引き上げ、日本に帰国していました。
心も身体も疲れてしまったら「日本に帰ること」「終えること」は何も負けなんかじゃない。
日本人は戦時中の「欲しがりません勝つまでは」の精神がまだ残っているのか「終える」事をネガティブに捉える人が多い気がします。
また世の中が落ち着いた時に再度チャレンジすればいい。
と、私がワーホリ中断していた話をしていると、ゆきさんもそんな事があったんですね!と驚かれる事が多いので、私の過去の経験が今、悩んでいる人の一つの参考になればと思い綴らせて頂きます。
私がワーホリ渡航した2015年は11月にパリで「同時多発テロ」が起こりました。
実はこの時、友人の結婚式で日本に一時帰国していました。
テロが起こり、予約していた帰国便は運航はしているものの、日本に住んでいる周りからの声もあり、予定より1ヶ月、パリへ戻る便を引き伸ばしました。
パリに戻ってからの仕事や予定も入っていたし、荷物も家もそのまま。
長い休業は迷惑がかかるのでバイトしていたサロンは退職の旨をメールで伝え、私はパリに戻れるのだろうか・・?戻っても仕事や生活は・・?と日本にいながらも毎日錯綜していました。
一世一代の大決心をしたパリ渡航。
友達も増え、仕事や生活もやっと軌道に乗ってきたのになあ・・。と、日本にいてもすることがなく、かたや東京の日常は流れていて、毎日悶々とする日々を送っていました。
今なら「プランAがだめならプランBで」と切り替えられるかもしれませんが当時の私はそこまで視野が広くなく、「予定が狂ってしまった」事への脱力感で毎日、普通に働く友人と比べては落ち込んでいた事を覚えています。
「4ヶ月生活して頑張ったし満足でしょ。」と身近な人から言われたり、「今は本当に心配だから絶対にパリに戻らないでほしい。ゆきならまたいつでもパリで仕事ができるよ。」と友人からメールをもらったり。
渡航は自分の意志だけで決めたけど、周りの人たちの気持ちを踏みにじってまで今、自分のやりたい事を優先させる意味はあるのか?
築きつつある「パリでの生活」もある。
悩み抜いた末に、心配してくれる人たちの気持ちに背く行動はできず、一旦パリでの生活を引き上げることにしました。
その後、情勢が少し落ち着いたタイミングで荷物を取りに1週間戻りました。
ちょうどノエル(クリスマス)シーズンで、初めて見るパリのイルミネーションが美しく心に染み、「目的は完遂できなったけど、ここに住んでいた事は絶対忘れないでおこう。」と強く思ったことを今でも覚えています。
サービス業をしている以上、12月に海外旅行に行けることなんて当分ないだろうな。と、荷物を引き上げた後にドイツ、オーストリアとクリスマスマーケット巡って日本に本帰国しました。
この後3ヶ月ほど日本に滞在し、また春にパリに戻る事になります。
パリでの生活を諦めたはずが、やはりどこか諦めきれず、また銀座でサロンを再開しようと物件も見に行きましたが、未練があり決めきれず・・。
ワーホリビザ自体は何度帰国しても無効にはならないので、「少しの期間でもいいからパリに戻りたい。」そんな気持ちをずっと抱えたまま、3カ月間日本で過ごしていました。
今、読んで頂いているいる方で、海外関係なく「お店を閉めようかな」「ネイリストやめようかな」と悩まれている方がいらっしゃるかもしれません。
耐える事も大事だけど状況によっては終える判断も大事。
私がまた舞い戻ったように、健康な身体とチャンスがあれば何度でもチャレンジできる。
戻った「パリ後半戦」の3ヶ月間は前半の「パリ前半戦」の4ヶ月とは比べ物にならないほど充実していて、今仕事に繋がっている事のほとんどは「パリ後半戦」からのご縁です。
あのまま耐えてパリ生活を続けて得る物もあったかもしれませんが、舞い戻ってからの見える景色は前半戦と全く違い、私にとっては日本に一旦帰国した事が結局のところ良い結果に繋がりました。
どの環境下、どの立場であっても今後の事について悩んでいる方は多いと思います。
決断が合っていたか間違っていたかははその時ではなく、あとの行動によって決まる。
私も含めてこの業界、難局を迎える方が多い2020年だとは思います。
海外に住んでいるネイリストさん含め、今後の展開を悩まれている方のお役に少しでも立てれば幸いです。
この記事を書いた人
久賀田有紀(Yuki Kugata)
一般社団法人 海外ネイル協会 代表理事
ネイルサロンmaninailオーナー
えがお爪工房 ディレクター
2015年より1年間パリにて活動。