インタビュー

interview10 フロリダ州で活躍するコンペティターネイリスト

 

アメリカ・フロリダ州で活動するネイリスト、ガルシア涼子さんにお話を伺いました。
結婚を機に渡米し、日本で培ったネイル技術を発揮して活躍されています。
アメリカでの働き方・コンペティション・メーカー契約などのお話を伺いました。

 

 


▼現在までのキャリアヒストリーを教えて下さい。
結婚を機に2008年、渡米しました。
渡米してからもネイル一本で仕事をしています。
ネイルの道へ志したのは今から16年ほど前。
学生の時から付け爪を付けたり、109のショップ店員をしたりと、ファッションや美容は好きでしたが、当時ネイルサロンがあまり多くなく、大学では商学部に通っていました。
卒業し、友人が住むNYで3ヶ月滞在したり、今後の生き方に迷っていた所、やっぱりネイルをやりたい。と思い帰国後ネイルスクールに通い始めました。
昼はネイルスク―ルに通い、夜はホステスさんのエスコートの仕事をし、技術を習得してからはホステスさんのネイルもさせてもらうようになりました。
卒業後はレッドネイルズが経営する「ネイルランド」に入社。
歌舞伎町店の深夜枠で働いていました。
技術教育サポートが充実していたので,昼にトレーニングをして夜からのシフトで夜通し働き、朝5時に始発で帰るという生活。今はもうできませんが楽しかったですね。
当時はスカルプ全盛期。
場所柄もあって美意識が高いお客様が多く、ロングスカルプやショーや衣装に合わせた華やかなデザインなど、技術はここでかなり鍛えられました。
当時の経験は渡米してからもずっと活きています。
結婚を機に渡米するまで、ここで勤めていました。


▼渡米されてからはどのようにお仕事されていますか?
渡米してから4年間はオクラホマ州に住んでいました。
10代の頃から英会話塾に通ったり、海外旅行が好きで海外には興味はありましたが長期移住は初めて。
まずは車の免許を取りに行き、その後オクラホマ州のネイルライセンスを取りにいきました。
アメリカのネイルライセンスは州ごとに内容が違い、オクラホマ州は日本のネイルキャリアや資格は一切加味されず、イチからの技術・筆記試験でした。
夫はアメリカ人で、彼と会話ができるくらいの語学力はありましたが、私に対して分かりやすく話してくれていた事もあり、ローカルの人たちの英語の早さに初めは戸惑いました。
オクラホマ州も現在住んでいるエリアも日本人が少なく、ほとんど日本語を話す事がない生活なので、語学力は否応なしに伸びました。
ライセンスを取得してからはオクラホマ州の「フルサービスサロン※」に入りました。
アメリカの良いところは「正社員」で縛りすぎず、「どうぞこのスペース使ってやって。」という自由な感じで仕事ができる所です。
一からのスタートでしたが、サロンメンバーが協力してくれ、「新しいネイリストが入ったよ!」とお客様に紹介してくれたり、日本からネイルサンプルを沢山準備していたのでお客様へのアプローチはかけやすかったです。
地域で日本人ネイリストはもちろん私だけ。
競争相手がほぼいない事もあり、すぐに予約が埋まり、大忙しになりました。
4年後、現在のフロリダ州に引っ越しました。
フロリダ州ではコミッション(歩合制)のサロンで働き、同僚に誘われ現在のフルサービスサロンのブースレントで働いています。

ネイル・まつ毛・フェィシャル・マッサージなどトータルビューティサロン内でそれぞれの事業主でシェアしており、共通のお客様もたくさんいます

※フルサービスサロンとは
「トータルビューティサロン」ヘア・ネイル・エステ・まつ毛など、美容に纏わるサービスが一つの店舗で受けられる。
勤務するスタッフはコミッション制(歩合制)かブースレント(個人事業)がほとんど。


▼コンペティションでの活動をお聞かせ下さい。
日本でもスクール生の時からコンペティションに出ていました。
結果は散々でしたが、コンペがあると練習するので楽しかったですね。
渡米してからも「NAIL PRO CUP」のラスベガス・オーランド・ロングビーチにも出場し、合計10個のトロフィーを頂きました。
その中で雑誌「NAILS Magazine」でNext Top Nail Artisthttps://www.nailsmag.com/awards-contests/nails-next-top-nail-artist)という投稿型コンペティションがあり、エントリーしました。
これは毎週テーマに沿ったデザインを作ってオンライン上で対決をし、6ヶ月間続けた後に優勝者を決めるというものです。
このコンペティションの第一期として優勝し、ネイル業界に注目してもらえるきっかけになりました。


▼コンペティションきっかけにはどのようなお仕事が舞い込んできましたか?
現在、サロンワークと別に2社とネイルアーティスト契約を結んでいます。
1社はgelish(ジェリッシュ)と同じ会社の「MORGAN TAYLOR(モーガンテイラー)」。
毎シーズン出るカラーコレクションのアートデザイン担当やソーシャルディアのコンテンツ作り、マーケティングチームのお手伝いをしています。
優勝した雑誌コンペティションのスポンサーがgelishだった事がきっかけで、お話を頂けました。
もう1社はNY本社のKissProducts(キスプロダクツ)というネイルブランドのチップデザインを担当をしています。
こちらも雑誌きっかけで声をかけてもらいました。
コンペティションでの優勝から新たな道が開けたと思います。
頑張れば頑張るだけ、どこ出身かは関係なく評価してもらえる。アメリカンドリームは存在すると思いますよ。
結果、週5日のサロンワークと合わせて2社との仕事もしているので、ほぼ毎日働いています。
時間的余裕もなく、コンペティションにはしばらく出場できていません。


▼またコンペ出場や後継者教育などは考えられていますか?
自分自身のコンペティション出場は今のところ考えていません・・。
レディガガさんによるネイルアートのブームやソーシャルメディアの影響もあってアメリカのネイリストもかなりレベルが上がってきています。
こちらのネイリストは「アーティスト」としてプライドを持って仕事をしている者が多いです。
ネイリスト教育に関しては、最近考え出していたところです。
現在働くサロンで、新しいネイリストが私のやる事を見ていたり、ネイル技術を教えてほしいと頼まれることも増えました。
マンツーマンで2~3人ほど、サロンが休みの日曜にスクール開講をしています。
そんなわけで、本当に休みがないです。笑


▼日本のサロンワークとの違いはありますか?
アメリカは「ネイルアーティスト」として地位が確立されていると思います。
お客様からも尊敬されている存在。
日本とはここが全然違うかもしれないです。
私のお客様のメニューは6~7割アクリルスカルプチュアです。
日本人は元々キレイな爪の形の方が多いけど、アメリカ人は形が悪かったり極端に短い人も多いので、形を形成する意味でもアクリルスカルプチュアをします。
お客様からのアート要望は「Pinterest」からピックアップしてきて、相談しながら決めることがほとんど。
可愛い感じではなくてエッジの効いたデザインを好む方が多いかもしれません。
ネイル商材は全てアメリカ製で使っていて、ブラシ・ニッパー類は日本のものが断然良く、日本で購入したものを使っています。


▼最後にアメリカや海外でチャレンジしたいネイリストに一言。
日本人は真面目なのでどこの国でもやっていけると思います。
アメリカで働く良さは自由です。
値段設定も自分で決められるし、極論、お客様がいなければ帰ってもいい。(帰らないですけどね)
私は夫の転勤きっかけで渡米しましたが、ネイルの職をもっていて本当に良かったと思っています。
渡米12年間、ネイリスト1本で仕事ができているのも日本での経験があったからだと思いますし、ネイリストでなかったら家にいて何もしていなかったかもしれません・・。
需要は大いにあると思うので頑張って下さい!


ガルシア涼子さんの活動はこちら

サロン【Coastal Spa and Salon of Fort Walton Beach

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【インタビュアーより】

アーティストという言葉がぴったり当てはまる、努力家で職人肌、温かく優しい方でした。

結婚という転機がなければ今も日本で働いていたかもしれない。という涼子さん。

生活の変化にも柔軟し、異国の地でも輝き続ける姿がカッコよく、同じ女性として前向きな気持ちになりました。

ありがとうございました!


interviewer 久賀田有紀 Yuki Kugata
一般社団法人 海外ネイル協会 代表理事・maninailオーナー
教員在職中にネイルスクールに通い2009年ネイリストに転職。
2015年より1年間パリにてネイリストとして活動。

 


 

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